
ネジバナとミゾソバという花。
白からピンクに移る花びらの色。
1番好きなリリアンの糸の色。
「大好きな花」というより特別で
もうほとんど自分の
大切な幼なじみだと思っている。
見つけると
必ずしゃがんで
花と目線を合わせる。
出来るだけ近づいて
目の中に取り込むように
見つめ続ける。
リリアンの糸が欲しいのに
「買って」と
上手く言えなかった小さな頃
足はアスファルトではなく
土を踏むことの方が多くて
原っぱが至る所にあり
怪我をしたり刺されたりしても
草や虫を友達扱いしていた。
あの頃の時間は
私の歩幅に合わせて
流れてくれてたように思う。
一緒に過ごしてくれた
道端の小さな花。
ネジバナとミゾソバ。
今も見つければ
途端に時間はあの頃に戻り
目の奥に原っぱが広がっていく。


アスファルトの隙間から
頑張って咲いてるネジバナ

毎日の暑さに目が眩む。
子供の頃の暑さとは何かが違う。
アスファルトの照り返しが
目を突き刺すようだ。
微笑みと高笑いが違うように
光にも優しさと攻撃性とが
あるのか。
強烈な熱線から逃げるように
目は緑を探して歩いている。
元気のない時は尚更
光が暴力的に思えてくる。
大体、足元の草花や
地面に揺れる樹影に
目を止めているのは
下を向いているからで
それは何気なくの時もあるが
落ち込んでいる事の方が多いのだ。
顔を上げられない気持ちの時に
懐かしく美しいものが
目の前に姿を見せてくれる。
例えば小さな花。
その美しさと親しさを
無償で与えてくれている事に
手を合わせたくなる。
大仰な事を言えば
(神様...)とすがりたい時
そこに美しい自然があるという事は
(生きろ)と
言われてるようなもので
目の前の風景に自分の感情を
溶かし込む事が出来たら
その風景はもう
神様そのものなのだと思う。

足元で光る これはヒメジュオン
いつもありがとう!