大切な事に気がつくなら
なるべく早い方がいい。
瀬川強さんの写真集
「イーハトーヴ
フォト心象スケッチ」に
20代で出会えた事は、
本当に幸運だったと思う。
お店でパラパラ立ち読みして
(いいな、いいな欲しいな)
と思っていた。
ある日それとは知らない主人が
この本を気に入って購入!
あらびっくり幸せ。
今も折に触れては
何度もページをめくる。
その度にハッとする気持ちになって
写された風景の中に
ただただ入って行く。
澄んだ光が心の中に流れ込んで
喉が渇いた時に
とびきり綺麗な水を
飲んだような状態になる。
そうやって見ていると、
瀬川さんの写真は、なんだか
人間が写したものではないように
思えて来る。
まるで鳥や動物や虫が、雲や風が
カメラを持って写したかのよう。
ある時は空から、
そしてある時は地面から。
瀬川さんの視点は自在に動き、
水や空気や光といった
形の定まらないものも
その一瞬の美しさを捉え
私達に見せてくれる。
中でも私は、
草花やきのこや虫といった
地面に近いもの達を
写してくれた写真に惹かれた。
うっかり見過ごすと
気がつかないで通り過ぎてしまう。
もしかしたら
踏みつけて壊してしまう。
そんな場所の奇跡の瞬間。
(虫から見たら、この世は
こんなふうに見えるのか)
瀬川さんの写真を見て
私は生まれて初めて
(虫になりたい)と思った。
美しいもの
すばらしいものは
既に足もとにあるのだ。
私の目が変われば
無限に発見する事が出来る。
「奇跡の瞬間」は、
非日常の特権ではなく
毎日歩く同じ道の上に
たくさん待っている事もある。
宮沢賢治の言う通り
理想郷はすぐ目の前にあるのだと
「イーハトーヴ
フォト心象スケッチ」
という写真集は
私に教えてくれるのだ。
瀬川強さんは
岩手県和賀郡西和賀町在住の
写真家です。
瀬川さんは
生まれては消えていく
生命の瞬間を捕まえる為に
毎日、山に入り写真を撮ります。
しかしその活動は
写真家にとどまらず、
「カタクリの会」代表として
自然観察会を通しての自然保護や
地域の文化を守る活動を
何年も精力的に続けているのです。
瀬川さんの生き方を見ていると、
「山野に生きる命の声を
聞いて欲しい」と私達に呼びかけ、
宮沢賢治の愛した
イーハトーヴの奥深さを
くり返し伝えてくれているのだと
感じます。
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